【アート・美術】フレデリック・ワッツ《希望》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

2018年2月23日は、ヴィクトリア朝時代の英国の画家ジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts, 1817-1904)の114歳の誕生日でした。

 

フレデリック・ワッツ《自画像》、油彩・カンヴァス、1834年

 

 

国と時代の一致から、しばしばラファエル前派の画家達とともに語られることの多い彼ですが、その寓意的な作風は群を抜いており、当時の象徴主義の一人としてカテゴライズするのが賢明と言えるでしょう。

 

本日シェアするのは、この作品です。

フレデリック・ワッツ《希望》、油彩・カンヴァス、1897年

 

 

この暗い色調、この悲しげなポーズから「どこに希望があるのだ?」とお思いでしょう。

 

答えは、竪琴の弦です。

 

ここに描かれている人物は、眼帯をしていることからも分かる通り「盲人」です。

 

目の見えない彼女(彼?)にとっての希望は、視覚以外のもの。

 

この絵では、竪琴を持っているので、弦の「触覚」と弦が奏でる音の「聴覚」が「希望」に該当します。

 

しかし、よく見て下さい。

 

この竪琴は、弦が一本しかなく、しかも擦り切れんばかりです。

 

つまり、希望は希望でも「残り少ない希望」=「絶望状態」のテーマだということがお分り頂けるでしょう。

 

同様の表現で、石原裕次郎さんの1977年のシングル曲「ブランデーグラス」(作詞:山口洋子、作曲・編曲:小谷充)の歌詞でも、

指で包んだ丸いグラスの底にも 残り少ない夢が揺れている

 

という一節がありますね。

 

夢も希望も存在しているのに、それが少なければ絶望や悲しみに姿を変えてしまう。

 

それがワッツの《希望》、そして石原裕次郎さんの「ブランデーグラス」なのです。

 

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城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki

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