【アート・美術】城牙咲くらは《ブリュージュの思い出》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

これまで旅行した国で一番よかったと思う国はベルギーです(紀行文というか回想録はまた今度)。

 

僕が専門としているモーリス・メーテルリンク(Maurice Maeterlinck, 1862-1941)も、画家の中で一番好きなフェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)もベルギーです。あと、大好きなビールもチョコレートも、やっぱりベルギーが一番!

 

ベルギーの中でも、北部に位置するブリュージュ(現地の発音では”ブルッヘ”)という街が特に好きです。

 

「ブリュージュ」は「ブリッジ(橋)」を語源に持つと聞いたことがありますが、この古都は、運河の街というだけあって、「眼鏡橋」のようなアーチを描く小さな橋がいくつも存在します。

 

そして、その運河には白鳥が遊泳しているのが特徴で、運河沿いの修道院の庭には羽を休める白鳥達の優雅な姿を拝むことができます。

 

その様子を油絵で描いて見ました。

 

城牙咲くらは《ブリュージュの思い出》、油彩・カンヴァス

 

 

この街ブリュージュをテーマにした詩をステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé, 1842-98)が書いています。

 

第一カトラン(第一段落)に書かれている、石が「一襞ごとにめくれる」という表現は、ブリュージュの名産品であるレース編み製品へのアナロジーだと言われており、古都ならではの観念的で非物質的な姿が描かれています。

 

今回も僭越ながら、僕の翻訳にてシェアいたしましょう。

 

****

「ベルギーの友の想い出」

時折、微風も息を潜めて
香りそうな色をした老朽の街並
密やかで、目に見えるように感じる
寡婦の石が、一襞ごとに捲れるのを

さも漂い、或は実在しないかのごとし
或は、古の時代に香油を振りまくごとし
我ら年古りた者達も、大いに満足である
我らの思いがけない、新しき友情に

おゝ、愛しき友人達よ!我らが出会った月並みならぬ
ブリュージュは、死んだ運河に夜明けを滲ませ
そこでは、多くの白鳥がちらほら遊泳している

この街の縁の者の誰かが白鳥の飛翔のごとく
翼のように、即座に才気を広げることを
この街が、厳かに、私に知らせるその時に

****

Remémoration d’amis belges

À des heures et sans que tel souffle l’émeuve
Toute la vétusté presque couleur encens
Comme furtive d’elle et visible je sens
Que se dévêt pli selon pli la pierre veuve

Flotte ou semble par soi n’apporter une preuve
Sinon d’épandre pour baume antique le temps
Nous immémoriaux quelques-uns si contents
Sur la soudaineté de notre amitié neuve

Ô très chers rencontrés en le jamais banal
Bruges multipliant l’aube au défunt canal
Avec la promenade éparse de maint cygne

Quand solennellement cette cité m’apprit
Lesquels entre ses fils un autre vol désigne
À prompte irradier ainsi qu’aile l’esprit.

 

****

僕の著書が好評発売中です!

『画集・怖い絵画;魔術的主題の世紀末』(デザインエッグ社)

モーリス・メーテルリンク『対訳 温室:他全詩集』(デザインエッグ社)

『青い鳥』でノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクのデビュー作『温室』および他の詩を全て集めたのは、世界初です!

表紙の絵も僕が描いた油絵です。

是非、メーテルリンクの幻想的な世界をお楽しみ下さいね。

城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki

早稲田大学大学院卒。 アルス・マルシェのブランドコーディネーター。 肖像画制作、デザイン、翻訳、ライティングなど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です