【アート・美術】フェルナン・クノップフ≪私は私自身に扉を閉ざす≫

ごきげんよう。

アルスマルシェのブランドコーディネーター「城牙咲くらは」です🌹

 

ベルギー象徴主義の画家フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)をご存知ですか?

 

「象徴主義者の中で最も国際的」あるいは「世紀末の魔術師」と呼ばれた画家は、その異名の通り、神秘的な画風を特徴としています。

 

僕が最も好きな美術作品もクノップフの作品です(その作品は後日)。

 

今日ご紹介するのは、彼の代表作の一つ≪私は私自身に扉を閉ざす(I lock my door upon myself)≫(1891年)という油彩画です。

フェルナン・クノップフ≪私は私自身に扉を閉ざす≫、油彩・カンヴァス、ノイエ・ピナコテーク(ミュンヘン)、1891年

こちらを向いている女性は画家の妹マルグリット、背景の室内は画家の自室です。

また、背景の棚に配置されている、青い翼を持つ頭部の石膏像にお気づきですか?

 

これはギリシャ神話に登場する眠りの擬人像「ヒュプノス」で、クノップフが実際に作った作品で、やはり彼の自室に飾られていました。

 

前景の三本の赤い百合の花が「時間」を表しているのは分かりやすいでしょう。

 

しかし、この絵が何を表しているのかは、とても分かりにくいのではないでしょうか。

 

それを読み解くには、ある詩を参照しなくてはいけません。

 

イギリスの詩人クリスティーナ・ロセッティ(Christina Rossetti, 1830-94)の詩「誰が私を解き放つ?」という韻文詩です。

 

絵のタイトルは、この詩の一節です。

 

クノップフは文学サークル「若きベルギー」と交流を持ったり、イギリスの画家の影響を受けたりしましたから、これは決して不思議なことではありません。

 

普段はフランス語で絵のタイトルをつける彼が、この索引には英語でタイトルをつけているというのも面白いですね。

 

さて、それでは、絵の題材となった詩「誰が私を解き放つ?」とは、どんな詩だったのでしょうか?

 

「誰が私を解き放つ?」

 

 

神よ、私自身に耐える力を与え給え
耐えるにはこの上なく重荷な私自身
肩から降りることのない重荷の心労

全ては私自身の外にある
私は心の扉を閉ざして、(かんぬき)を掛けて
喧騒、退屈、人付き合いを締め出す 

私は私自身に扉を閉ざす
そして、(かんぬき)を掛ける  でも、誰が私を護ってくれるの?
一番大嫌いな私自身から


もし、一度、私自身を横たえることができたら
もし、全員が走らねばならない競技に
「自裁」を出場させられたら!すぐに「死」が走り出す

もし、私自身を捨て去ることができたら
全ての故人が通ったその道を
もし、軽くなった心で歩み始められたら!


神よ、私を、私自身に対して無感覚にし給え
安らぎと解放と喜びを切望する
めそめそした声を上げるこの臆病者を 

私自身は、私自身を引きずる荷車
最も不誠実な我が友にして我が最大の宿敵
私がどんな道をゆこうとも付き(まと)足枷(あしかせ)


それでも、私自身を抑制できるものが一つ
それは、私にのし掛かる重荷を私から奪い
(くびき)を打ち壊し、私を自由にしてくれるもの


クリスティーナ・ロセッティ

(訳:城牙咲くらは)

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