【重大発表】クリムト展(東京都美術館)のグッズ発売中!

令和元年おめでとうございます。

アルスマルシェ(ARS MARCHÉ)代表の五井亮介です。

いつもご声援をいただきありがとうございます。

今回お伝えしたい重大発表ですが、アルスマルシェが企画・制作した「クリムト展」(4/23-7/10、東京都美術館)のグッズについてでございます。

この画像にもあります通り、ラインナップは、

●クリムト・エンブレム(ワッペン)
●クリムト缶バッジ
●クリムト・ローズ(コサージュ)

です。

こちらの商品は、東京都美術館の常設ミュージアムショップ(入口のすぐそば)で好評発売中です!

クリムト展にお越しの際は、ぜひご覧ください。

アルスマルシェ
代表 五井亮介

 

【アート・美術】新感覚!絵画刺繍;ゴッホ《自画像》

ごきげんよう。

城牙咲くらはです🌹

私がブランドコーディネーターを務める「アルスマルシェ(ARS MARCHÉ)」(Twitter: @arsmarche)では、「絵画刺繍」をデザイン&製作しています。

これは、特殊なミシンによって、西洋絵画を刺繍作品に仕上げたものです。

 

元の絵はこちらです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》、油彩・カンヴァス、オルセー美術館(パリ)、1889年

 

いかがでしょうか?

 

原画(油絵)とはまた違う雰囲気で、しかしプリントにはない独特な高級感がありますね。

 

これから、国内の美術館の常設展や企画展の絵画をラインナップとして増やしていきますので、全国のミュージアムショップのご関係者様は、何卒よろしくお願いいたします!

【アート・美術】城牙咲くらは《ブリュージュの思い出》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

これまで旅行した国で一番よかったと思う国はベルギーです(紀行文というか回想録はまた今度)。

 

僕が専門としているモーリス・メーテルリンク(Maurice Maeterlinck, 1862-1941)も、画家の中で一番好きなフェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)もベルギーです。あと、大好きなビールもチョコレートも、やっぱりベルギーが一番!

 

ベルギーの中でも、北部に位置するブリュージュ(現地の発音では”ブルッヘ”)という街が特に好きです。

 

「ブリュージュ」は「ブリッジ(橋)」を語源に持つと聞いたことがありますが、この古都は、運河の街というだけあって、「眼鏡橋」のようなアーチを描く小さな橋がいくつも存在します。

 

そして、その運河には白鳥が遊泳しているのが特徴で、運河沿いの修道院の庭には羽を休める白鳥達の優雅な姿を拝むことができます。

 

その様子を油絵で描いて見ました。

 

城牙咲くらは《ブリュージュの思い出》、油彩・カンヴァス

 

 

この街ブリュージュをテーマにした詩をステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé, 1842-98)が書いています。

 

第一カトラン(第一段落)に書かれている、石が「一襞ごとにめくれる」という表現は、ブリュージュの名産品であるレース編み製品へのアナロジーだと言われており、古都ならではの観念的で非物質的な姿が描かれています。

 

今回も僭越ながら、僕の翻訳にてシェアいたしましょう。

 

****

「ベルギーの友の想い出」

時折、微風も息を潜めて
香りそうな色をした老朽の街並
密やかで、目に見えるように感じる
寡婦の石が、一襞ごとに捲れるのを

さも漂い、或は実在しないかのごとし
或は、古の時代に香油を振りまくごとし
我ら年古りた者達も、大いに満足である
我らの思いがけない、新しき友情に

おゝ、愛しき友人達よ!我らが出会った月並みならぬ
ブリュージュは、死んだ運河に夜明けを滲ませ
そこでは、多くの白鳥がちらほら遊泳している

この街の縁の者の誰かが白鳥の飛翔のごとく
翼のように、即座に才気を広げることを
この街が、厳かに、私に知らせるその時に

****

Remémoration d’amis belges

À des heures et sans que tel souffle l’émeuve
Toute la vétusté presque couleur encens
Comme furtive d’elle et visible je sens
Que se dévêt pli selon pli la pierre veuve

Flotte ou semble par soi n’apporter une preuve
Sinon d’épandre pour baume antique le temps
Nous immémoriaux quelques-uns si contents
Sur la soudaineté de notre amitié neuve

Ô très chers rencontrés en le jamais banal
Bruges multipliant l’aube au défunt canal
Avec la promenade éparse de maint cygne

Quand solennellement cette cité m’apprit
Lesquels entre ses fils un autre vol désigne
À prompte irradier ainsi qu’aile l’esprit.

 

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僕の著書が好評発売中です!

『画集・怖い絵画;魔術的主題の世紀末』(デザインエッグ社)

モーリス・メーテルリンク『対訳 温室:他全詩集』(デザインエッグ社)

『青い鳥』でノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクのデビュー作『温室』および他の詩を全て集めたのは、世界初です!

表紙の絵も僕が描いた油絵です。

是非、メーテルリンクの幻想的な世界をお楽しみ下さいね。

城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki

【アート・美術】ルドルフ2世の驚異の世界展@Bunkamuraザ・ミュージアム

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

アルスマルシェ(ARS MARCHÉ)のアカウントはこちら(→@arsmarche

 

(これは過去に書いた記事の一部に加筆しているものです。)

 

先日、Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)で開催されている「ルドルフ2世の驚異の世界展」に行ってきました。

 

ちなみに、Bunkamura ザ・ミュージアムは、国内でも三本指に入るお気に入りの美術館です。

 

ヨーゼフ・ハインツ《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》、油彩・カンヴァス、1600年頃

 

 

「究極の趣味人」と呼ばれたルドルフ2世。

 

今でいう「ヲタク」のように、多岐に渡るジャンルの珍品を収集し、また制作もさせてきたルドルフ2世ですが、この展示の目玉といっても良いのが、こちらの作品でしょう。

ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世》、油彩・板、1591年

 

数ヶ月前まで国立西洋美術館(上野)で開催されていた「アルチンボルド展」が大盛況のうちに幕を閉じたのは周知の通りで、同時期にBunkamura ザ・ミュージアムで開催されていた「ベルギー奇想の系譜展」、その少し後に上野の森美術館で開催された「怖い絵展」、そして現在、東京都美術館で開催されている「ブリューゲル展」といった風に、「怪奇」や「驚異」といったコンセプトが近頃のブームのようです。

 

ハンス・フォン・アーヘン《ルクレティアの自殺》、油彩・カンヴァス、1601年

 

 

この「ルドルフ2世の驚異の世界展」の中でも特に興味を惹かれたのは、ドイツのマニエリスムの画家ハンス・フォン・アーヘンが描いた、この《ルクレティアの自殺》という油彩画です。

 

展示の主催者としてはあまり重点を置いていない作品だったのかもしれませんが、17世紀とは思えない、現代風の写実的な、まるでCGのような肌の質感が印象的です。

 

絵描きの端くれとして「画家目線」で偉そうに解説しますと、一切無駄のないタッチで用意周到に描かれていることがわかります。

 

ところどころチラつく下地のイエローオーカーの上に、微調整に微調整を重ねるかのように配置された絵の具達。

 

ところどころが背景の闇に溶け込んでいますが、あらかじめ光が当たっている部分を完璧に描写した後に、闇に溶け込ませたのであろう手法が想像できます。

 

グロテスクなはずの傷口を大々的に描かず、悲壮感あふれる人物の表情や「眼差し」だけで、伝承上の貞淑な女性の悲劇をドラマチックに演出しています。

 

伝承によれば、ルクレティアは自らの父親と夫の目の前で自殺しています。

 

その理由は、セクストゥスから受けた強姦によって貞操を守れなかった「罪の意識」に由来します。

 

そんな経緯もあり、最期は夫や父親と目を合わせることができなかったのでしょう。

 

 

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【アート・美術】フレデリック・ワッツ《希望》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

2018年2月23日は、ヴィクトリア朝時代の英国の画家ジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts, 1817-1904)の114歳の誕生日でした。

 

フレデリック・ワッツ《自画像》、油彩・カンヴァス、1834年

 

 

国と時代の一致から、しばしばラファエル前派の画家達とともに語られることの多い彼ですが、その寓意的な作風は群を抜いており、当時の象徴主義の一人としてカテゴライズするのが賢明と言えるでしょう。

 

本日シェアするのは、この作品です。

フレデリック・ワッツ《希望》、油彩・カンヴァス、1897年

 

 

この暗い色調、この悲しげなポーズから「どこに希望があるのだ?」とお思いでしょう。

 

答えは、竪琴の弦です。

 

ここに描かれている人物は、眼帯をしていることからも分かる通り「盲人」です。

 

目の見えない彼女(彼?)にとっての希望は、視覚以外のもの。

 

この絵では、竪琴を持っているので、弦の「触覚」と弦が奏でる音の「聴覚」が「希望」に該当します。

 

しかし、よく見て下さい。

 

この竪琴は、弦が一本しかなく、しかも擦り切れんばかりです。

 

つまり、希望は希望でも「残り少ない希望」=「絶望状態」のテーマだということがお分り頂けるでしょう。

 

同様の表現で、石原裕次郎さんの1977年のシングル曲「ブランデーグラス」(作詞:山口洋子、作曲・編曲:小谷充)の歌詞でも、

指で包んだ丸いグラスの底にも 残り少ない夢が揺れている

 

という一節がありますね。

 

夢も希望も存在しているのに、それが少なければ絶望や悲しみに姿を変えてしまう。

 

それがワッツの《希望》、そして石原裕次郎さんの「ブランデーグラス」なのです。

 

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城牙咲くらは

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【アート・美術】アルフォンス・ミュシャ《ショコラ・イデアル》

ごきげんよう。

城牙咲くらはです。

 

さて、アルスマルシェ(ARS MARCHÉ)の公式ツイッターアカウント(@arsmarche)が出来たみたいです🌹

 

さて、今日は、2018年のバレンタインデーに書いた文章に一部の変更を加えてシェアいたします。

ゴディバジャパンの広告『日本経済新聞』(2018年2月1日)

 

王室御用達の老舗チョコレートメゾンが「日本は、義理チョコをやめよう」という広告を掲載して話題を呼んだ今年のバレンタイン。

 

皆様はいかがお過ごしですか?

 



僕はチョコレートが大好きなので大歓迎なのですが、そもそも「義理チョコ」文化は日本にしかないものですし、どことなく「昭和臭さ」や「理不尽な日系企業」の体質を感じてしまうので、反対派ではあります。

 

ただ、バレンタインデーに限らず、チョコレートを食べたり送ったりする文化が定着すれば、ヨーロッパ的で素敵だな、と思います。

 

さて、今日は、皆さんも大好きなチェコの画家にしてデザイナーのアルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860-1939)の作品をシェアいたしましょう。

 

アルフォンス・ミュシャ《ショコラ・イデアル》、石版画・紙、1897年

 

「ショコラ・イデアル」« chocolat idéal »とは、「理想的なチョコレート」という意味で、その下に書かれている« en poudre soluble »は、「溶ける粉末の〜」という意味のフランス語です。

 

中央に立っている女性が持っているトレーには、アール・ヌーヴォー調の装飾的な湯気が漂うコーヒーカップのようなものが見えます。

 

これは、この広告が示す商品の粉末状のチョコレートを、お湯やホットミルクで溶かした飲み物です。

 

フランスのホテルで朝食を摂ったことのある方ならお分かり頂けるかと思いますが、バイキング式の朝食会場でウェイトレスやギャルソンの方に「ショコラ・ショ」« Chocolat chaud. »とオーダーすれば、大きなポットに入った「ショコラ・ショ」を持ってきて注いでくれるので、このミュシャのポスターに描かれているのと同じものを飲むことができるのです。

 

このフランス語の「ショコラ・ショ」は、英語で言う「ホット・チョコレート」です。

 

RIP SLYMEの楽曲に「Hot chocolate」(2006年)というタイトルのシングル曲があります。

この曲のミュージックビデオを見ると、同グループの作風や同曲の曲調からはイメージしにくいレトロな仕上がりになっています。

 

この曲の歌詞ではトロッとした液体や、病み付きにさせる魅力から、セクシャルなワードが導き出され、隠微な曲として仕上がっていますが、このミュージックビデオのレトロな風情は、ミュシャの描いたポスター《ショコラ・イデアル》に由来するのかもしれません。

 

アルフォンス・ミュシャ(1928年撮影)

 

そして、もう一つ、チョコレートのポスターをご紹介しましょう。

 

アンリ・プリヴァ=リヴモン《ドゥラクル社のビスケットとチョコレート》、石版画・紙、1896年

 

アンリ・プリヴァ=リヴモン(Henri Privat-Livemont, 1861-1936)は象徴主義の画家にしてアール・ヌーヴォーのデザイナー。

 

ミュシャと作風が似ていることから「ベルギーのミュシャ」と呼ばれることも。

 

この広告のクライアントであるドゥラクル社は、1891年に設立された菓子メーカーで、今でもベルギーを拠点に企業活動を行なっています。

 

ゴディバやリンツと比べると日本ではマイナーだけれど、ドゥラクル社のチョコレートを送ったら「チョコレート通」と思ってもらえるかしら?

 

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『青い鳥』でノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクのデビュー作『温室』および他の詩を全て集めたのは、世界初です!

表紙の絵も僕が描いた油絵です。

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城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki

【アート・美術】フェルナン・クノップフ《メリザンドの歌》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

本日は、僕が好きな画家ベスト3に入るベルギーの画家フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)の描いた《メリザンドの歌》という作品です。

 

フェルナン・クノップフ《メリザンドの歌》、木炭・色鉛筆・紙、1907年

この絵のテーマになっている「メリザンド」という人物をご存知かしら?

 

演劇に関心のある方、もしくはクラシック音楽がお好きな方ならピンと来るかもしれません。

 

詩集『温室』でデビューしたベルギーの戯曲家モーリス・メーテルリンク(Maurice Maeterlinck, 1862-1949)の名作『ペレアスとメリザンド(Pelléas et Mélisande)』(1892年)のヒロインです。

 

この戯曲の作者メーテルリンクは、「メリザンドの歌」というタイトルの簡単な詩を書いているので、後ほどシェアいたします。

 

さて、この戯曲は、ドビュッシーを始めとする作曲家達が曲を添えました。

 

個人的には、最も有名なドビュッシー版よりもガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré, 1845-1924)版の組曲が好きです。

 

フォーレ版の組曲では、おそらく「シシリエンヌ」という曲が最も有名でしょう。

 

この戯曲へのオマージュとして書かれ、この曲のタイトルを冠した嶽本野ばらさんの小説『シシリエンヌ』(新潮社、2005年)も必見です(僕の美意識の数パーセントはこの小説に由来します)。

 

少し話が脱線しましたが、この記事で問題としている「メリザンドの歌」は、『ペレアスとメリザンド』の組曲の構成では、「シシリエンヌ」の直前に配置されています。

 

記事の冒頭に掲載した作品を見て、どんな物語を想像しましたか?

 

答えは、戯曲の作者メーテルリンクの書いた詩「メリザンドの歌」に掲載されています。

 

僭越ながら、僕の翻訳でシェアいたしましょう(あ、この詩、日本語では日本初公開ですよ!)。

 

****

メリザンドの歌

泣いている水と、笑っている水
話をする水と、逃げていく水
夜の闇の中で、震えている水…

指環が滑り落ちて、指環が光っているわ指環が、逃げていく水に波紋を作っているわ
指環が、夜の闇に落ちていくわ…

指環が落ちて、夜の闇を飾っている天使達が、私達を赦してくれるのね!…
指環が、落ちていくわ
冷たい水と、夜の闇の両方に…

****

La chanson de Mélisande

L’eau qui pleure et l’eau qui rit,
L’eau qui parle et l’eau qui fuit,
L’eau qui tremble dans la nuit …

L’anneau glisse et l’anneau luit,
L’anneau trouble l’eau qui fuit,
L’anneau tombe dans la nuit …

L’anneau tombe et la couronne,
Que les anges nous pardonnent !…
La couronne tombe aussi
Dans l’eau froide et dans la nuit…

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僕の翻訳書が好評発売中です!

モーリス・メーテルリンク『対訳 温室:他全詩集』(デザインエッグ社)

 

『青い鳥』でノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクのデビュー作『温室』および他の詩を全て集めたのは、世界初です!

表紙の絵も僕が描いた油絵です。

是非、メーテルリンクの幻想的な世界をお楽しみ下さいね。

 

そして、今年7月に発売開始され大好評の『画集・怖い絵画;魔術的主題の世紀末』(デザインエッグ社)も要チェックです!

城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki

【アート・美術】ジョルジュ・ド・フール《悪の声》

ごきげんよう。

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

今日ご紹介する絵画は、ジョルジュ・ド・フール(Georges de Feure, 1868-1943)の作品《悪の声》です。

ジョルジュ・ド・フール《悪の声》、油彩・板、1895年

 

オランダ人の父とベルギー人の母を持つ彼は、デザイナー、画家、装飾芸術家といった多彩な才能を活かして、パリで活躍しました。

 

この絵の主役の女性は、どことなく「男装の麗人」という風格です。

 

そして、この人物の視線の先には、性交渉を終えたばかりと思しき裸の人物が描かれています。

 

よく見て下さい。この裸の人物は、二人とも女性です。


 

事を終えた二人の裸の女性と、それを見つめる男装風の女性。

 

そうです、この絵のテーマは「レズビアン」なのです。

 

今日では珍しくもないレズビアンですが、19世紀当時のヨーロッパでは、同性愛が法によって禁じられていました(『サロメ』や『ドリアン・グレイの肖像』で有名なオスカー・ワイルドも同性愛を理由に収監されました)。

 

そのため、男性的な女性が夢想している女性同士の交わりは「”悪の”声」なのです。

 

そして、もう一つの理由は、この絵画が、シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire, 1821-67)の詩集『悪の華(Les Fleurs du mal)』を意識して描かれたからです。

 

この詩集はご存知の通り、『悪の華』は1857年に刊行されましたが、そのうち6篇の詩が反道徳的であるとして、有罪・罰金処分を受け、削除されました。

 

その6篇の詩の中の一つが、これからご紹介する「レスボス」« Lesbos »という詩です。

 

「レスボス」というのは、実在する島の名前です。

 

そして、古代には、女性同士の同性愛が盛んだったという伝承もあります。

 

「レスボス」は長い詩なので、一部だけ抜粋・翻訳して見ました。

 

****

Car Lesbos entre tous m’a choisi sur la terre
Pour chanter le secret de ses vierges en fleurs,
Et je fus de l’enfance admis au noir mystère
Des rires effrénés meles aux sombres pleurs;
Car Lesbos entre tous m’a choisi sur la terre.

****

レスボスが、地上の全ての人達の中から私を選んだのだから
花盛りの乙女達の秘密を歌わせるために
そして、暗い涙の混じった気狂いじみた高笑いの
黒い秘密の花園に入ることを、私は許されたのだ
レスボスが、地上の全ての人達の中から私を選んだのだから

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そして、『悪の華』に収録されている別の詩では、レズビアンの女性を「無限を追い求める女性」とも表現しています。これも、要チェックです。

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【アート・美術】スピリアールト《待つ女》

ごきげんよう。

 

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。

 

「誰かを待っている女性」は、やや古風な主題ですが、古今東西で用いられてきた主題です。

 

日本の流行歌だけを見ても、都はるみ涙の連絡船」(1965年)、二葉百合子岸壁の母」(1972年)、八代亜紀雨の慕情」(1980年)を始めとして、枚挙にいとまがありません。

 

しかし、概ね共通しているのは、「半ば諦め、期待していない」ということです。

 

「涙の連絡船」では誰とも知れぬ一夜の恋の相手を、「岸壁の母」では戦地に徴兵された息子を、「雨の慕情」では愛憎入り混じった別れ方をした恋人を「待っている」のです。

 

今日ご紹介するのは、ベルギーの港町オーステンデの画家レオン・スピリアールト(Léon Spilliaert, 1881-1946)の作品です。

レオン・スピリアールト《待つ女》、墨汁・チョーク・水彩・紙、1908年

この絵の具体的な物語は分かりませんが、画家が港町出身であることを考えれば、先ほどご紹介した流行歌の女性達のように、半ば諦めながら「待っている」のかも知れません。

もう一つ考えるヒントがあるとすれば、スピリアールトは、生前に『青い鳥』でノーベル文学賞(1911年)を受賞したモーリス・メーテルリンク(Maurice Maeterlinck, 1862-1949)の詩集『温室(Serres chaudes)』をテーマに絵を描いてきたということです。

この『温室』という詩集には、「待ちぼうけ」« Attente »という詩が収録されています。

僭越ながら、僕の翻訳でお送りいたしましょう。

****

「待ちぼうけ」

我が魂は、その奇妙な両手を合わせた
我が眼差しの遥か彼方に向かって
我が夢を叶えて下さい、それらは撒き散らされ
貴方の遣いの天使達の唇の間に御座います!

疲弊した我が眼の下で待ちながら
そして、祈りの言葉を唱えて口を開くも
その祈りは、我が瞼の間で消え入りそうで
そして、我が魂の百合は、その花を開かない

我が魂は、我が夢想の奥底で、癒している
我が睫毛の陰で花弁を毟られたその乳房を
そして、我が魂は、流し目を送っている
嘘を吐くにつれ目醒める危険の方に

****

 

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